全国高校選手権第5日・準々決勝(5日、中京大中京2−2四日市中央工=PK1−4、駒沢)準々決勝の4試合を行い、
今大会出場校最多の4年連続29度目出場の四日市中央工(三重)が、中京大中京(愛知)と2−2からのPK戦を4−1で制し、
20大会ぶりの4強を決めた。四中工は、2年生のFW浅野拓磨が2試合連続となる後半ロスタイムの同点弾を決めた。
尚志(福島)と大分(大分)は初めてベスト4に進んだ。
7日の準決勝(東京・国立競技場)は、大分−市船橋(千葉)、尚志−四日市中央工の顔合わせ。
時間との闘いのなかで、集中力が研ぎ澄まされていく。1−2で迎えた後半ロスタイム。
四日市中央工のFW浅野は、FKのロングボールを味方が競り勝ったところに鋭く反応。
終了間際に起死回生の同点ゴールを挙げた3回戦に続き、劇的弾を連発だ。
「最後まで負ける気はしなかった。セットプレーで(好機が)くるやろうと思っていた」。
FKを主将のMF国吉祐介(3年)が頭でつなぐと、ゴール右にいた浅野が反転しながら右足を振り抜いた。
息を吹き返したチームの闘志が燃え上がる。「小5からPK戦は1度も負けたことがない」と豪語するGK中村研吾(1年)が、
相手の1本目を止めるなど3日の立命館宇治(京都)戦に続く大活躍。逆転で1991年度大会以来の4強入りを果たした。
浅野にとって、後半ロスタイム1分すぎの同点弾は前戦と全く同じ。これで1回戦から4戦連発4ゴールとなった。
樋口士郎監督(52)は「(浅野には)もっと自分の能力に自信を持ってほしい」と注文。
91年度大会で優勝した同校OBで「レフティーモンスター」と呼ばれた元日本代表FWの小倉隆史氏(38)になぞらえ、
「『オレが小倉2世』といってほしい」と襲名のお墨付きを与えた。
浅野には高ぶる思いもあった。6人兄弟の3番目。
三重・菰野町の実家では、昨年大みそかに母・都姉子(としこ)さん(46)が待望の長女・心春(こはる)ちゃんを出産。
生まれたのは1回戦で浅野が先制ゴールを挙げた直後。
同試合でも早速“ゆりかごダンス”のパフォーマンスを披露していた浅野は「メールで写真をみたけど、メッチャかわいいんです」と声を弾ませる。
準決勝は国立競技場。「まだまだ。(自分は)1試合1点しか決めていない。
このチームでもっと長くやりたい」。夢舞台へ思いをはせ、堂々と「小倉2世」を名乗る。 (丸山汎)