前半、巧みなトラップで尚志GK・秋山(右)をかわし、ゴールを決める四日市中央工・田村翔(左)=国立競技場(撮影・吉澤敬太)
「全国高校サッカー選手権・準決勝、四日市中央工6-1尚志」(7日、国立)
四日市中央工(三重)が尚志(福島)に6‐1で圧勝し、初優勝した第70回大会以来20大会ぶりに決勝進出を果たした。2年生ツートップのFW田村翔太が1得点、FW浅野拓磨が2得点を挙げ、通算6ゴールでトップに並んだ。主将のMF国吉祐介(3年)が警告累積で決勝を欠場するが、得点王争いの相乗効果で不安を一掃した。
浅野と田村翔‐。攻撃の両輪となる2年生コンビのライバル心が相乗効果となり、決勝進出の原動力となった。
前半41分、田村翔がゴール前のこぼれ球を右足でたたき込み、得点王争いで単独首位となる通算6得点目。浅野も黙ってはいない。後半32分、右サイドをドリブル突破し、左足でゴール左上に突き刺すと、同44分にも左足で「もう一丁!」とばかりに連発弾。これで、田村翔と肩を並べた。
浅野は「アイツが決めると、うれしいけど、むかつくかな(笑)。彼がゴールを外しても、正直、悔しい気持ちはあまりない。僕は他の人にアシストしても、アイツにだけはダメ。アイツもしてくれないし」とジェラシーの炎を燃やした。
とはいえ、準々決勝・中京大中京(愛知)戦で、田村翔が決めた前半の同点ゴールを浅野はアシストした。“嫌よ嫌よも好きのうち”ということだろう。前夜も宿舎で「俺が取るぞ」と言い合った。田村翔は「チーム内の争いをいい感じでやっています。僕は浅野より多く点を取りたい」とキッパリ。浅野は「彼が僕より後にAチームに上がってきた時には『成長したな』と思った」。自身の名である『拓磨』と同様に“切磋琢磨(せっさたくま)”している。
20年前はFW小倉隆史を擁して帝京(東京)と両校優勝。J創設時に名古屋などで活躍したストライカーの系譜にいる2人はまだ生まれていない。浅野は「夢だった。ここまで来たら勝つ」と単独V宣言。大会前、市船橋との練習試合は1‐2で敗れたが、その1点を決めている浅野は「100%の力を出す。でも、田村にはアシストしないっす、もう!」と破顔一笑した。