浅野58秒弾も四中工V目前1分前の悲劇…全国高校選手権

延長前半2分、ボールを競り合う四日市中央工GK・中村(左端)ら

 ◆第90回 全国高校サッカー選手権最終日 ▽決勝 市船橋2―1四日市中央工
         (9日・国立競技場)四日市中央工は20年ぶり2度目の優勝を逃した。

 20年ぶりの栄冠まで、あと1分だった。数々のミラクルを起こしてきた四日市中央工が最後の最後で力尽きた。
後半ロスタイムに同点に追いつかれると、延長戦を戦うパワーは残っていなかった。
96年に就任した樋口士郎監督(52)は、母校の3年生として出場した77年度大会で準優勝。
リベンジは果たせなかったが「やろうとした精いっぱいのサッカーができました」と選手をねぎらった。

 ベンチメンバーは9人中8人が3年生で、レギュラーはわずか3人。
それでも腐る選手がいなかったのは、きめ細かな指導のたまものだった。監督就任直後に半年間ブラジルへ研修。
厳しさを目の当たりにし、部員を能力別にA、B1、B2と分けた。A以外にも指導者がいて選手のケアをするため「自信を持って落とせる」という。

 開始わずか58秒で先制弾を決め、通算7ゴールで02年度大会の平山相太(国見)以来の2年生得点王に輝いたFW浅野は、
6男1女という大家族の三男として育った。決勝には母と昨年大みそかに生まれた長女・心春ちゃん以外の全員がスタンドに集結。
試合後は涙を流し「最後まで(試合を)できたことは幸せ。優勝した上での得点王が良かったですけど」と振り返った。
来年度は決勝のスタメン8人がチームに残る。大きな宿題を持ちながら、胸を張って故郷に帰る。