四中工、力出し切る 全国高校サッカー選手権大会

健闘に惜しみない拍手

(読売新聞社など後援)で準優勝した四日市中央工。東京・国立競技場で9日行われた決勝戦では、
延長戦の末、市立船橋(千葉)に1―2で逆転負けし、優勝は果たせなかったが、
最後まで精いっぱい戦った選手たちには惜しみない拍手が送られた。

延長後半、ゴールに攻め込む四日市中央工の金平〈5〉=小林武仁撮影

 試合開始直後の1分、西脇が右CKを空中戦で競り勝ちヘディングでボールを落とすと、それを田村翔がシュート。
ゴールキーパーの体に当たったこぼれ球を、浅野が右足で押し込み、先制点を奪った。

 その瞬間、四日市中央工のスタンドは大歓声に包まれ、浅野の父智之さん(46)は「よくやった!」とガッツポーズ。
応援に駆けつけた5人の兄弟も大声を上げた。

 前半を1点リードで折り返す展開ながら、同高OBで元Jリーガーの小倉隆史さん(38)は
「市船がこのままで終わるはずない」と、後半に向け気を引き締めた。

 後半は市立船橋の猛攻に遭い、中村を中心に必死の守りで得点を許さなかった。
しかし、試合終了まであと1分の後半ロスタイム。警戒していたCKから同点に追いつかれた。
中村の父譲さん(48)は「あー」と悲嘆の声を上げ、「最後まで踏ん張って」と望みを託した。

 延長後半5分に逆転された。その後は最後までゴールを狙い、スタンドも懸命の応援を続けたが、6分後に無情の笛が鳴った。

 今大会で6ゴールを挙げる活躍を見せた田村翔は「来年は優勝したい。こんな悔しい思いはしたくない」と雪辱を誓った。
樋口志郎監督は「後半は市立船橋の選手のフィジカルの強さにこらえきれなかった。
ただ、選手たちにはええサッカーできたな、とほめてあげたい」と話した。

【ミニマイク】

▽国吉祐介主将「泣かないと決めていたが、3年間仲間とサッカーが出来た思い出が浮かんで最後に泣いてしまった。
僕が出ていない分をみんながやってくれ、悔いのない大会になった」

▽生川(なるかわ)雄大選手「国吉がいなくても頑張ろうと思いながらプレーした。ここまで連れてきてくれたチーム全員に感謝したい」

▽浅野拓磨選手「悔しいけれど、決勝に出られるのは2チームだけ。最後の最後までみんなとサッカーができて幸せ」

▽中村研吾選手「一試合一試合、成長しているのを感じた。ここまで来ることができたのは先輩のおかげ。次は優勝したい」

(2012年1月10日  読売新聞)