四中工 PK戦で4強

ロスタイム追いつく
後半、激しく競り合う四日市中央工の後藤(左)=伊藤紘二撮影

 全国高校サッカー選手権大会(読売新聞社など後援)の準々決勝が行われた5日、県代表の四日市中央工は
さいたま市の浦和駒場スタジアムで履正社(大阪)と対戦。
1―1からのPK戦(6―5)で勝利し、2年ぶりのベスト4進出を決めた。
11日に国立競技場(東京都)で行われる準決勝では、富山第一(富山)と対戦する。

 四日市中央工は前半、サイドから井手川にボールを集めるが、相手の巧みなパスカットでシュートゼロに抑え込まれた。

 後半は攻め込みながら、なかなかゴールが奪えない。
62分に先制を許すと、「展開を変えたい」(樋口士郎監督)と、小道場(こみちば)を投入し、前線を強化した。
好機が訪れたのはロスタイムに入ってから。
左サイドから大辻のFKを相手GKが取りこぼすと、後藤が左足で押し込んで同点とし、PK戦に持ち込んだ。

 PK戦では、両チームとも2本ずつ阻んで迎えた8本目をGK高田がはじき、試合を決めた。
樋口監督は「リードされていても、追い付けると思っていた。守備陣がよく頑張ってくれた。
優勝を目指したい」と話した。

(2014年1月6日 読売新聞

カラー一新の四中工が2年ぶりの国立 
伝統校らしい驚異の踏ん張り 高校サッカー

産経新聞 1月5日(日)19時50分配信

カラー一新の四中工が2年ぶりの国立 伝統校らしい驚異の踏ん張り 高校サッカー

後半、四日市の中田永一(右)に止められる履正社の小林颯(左)=浦和駒場スタジアム(今野顕撮影)(写真:産経新聞)

 四日市中央工が、伝統校らしい驚異の踏ん張りをみせた。後半ロスタイムに追いつくと、
樋口監督が「うちは選手権のPK戦で負けたことがない」と絶対的な自信を持つPK戦で履正社を退け、
2年ぶりとなる国立行きを決めた。

 後半ロスタイムに敵陣でFKを獲得。ゴール前にほうり込んだボールを相手GKがファンブルしたところを、
「無我夢中だった」という後藤が泥臭く押し込んだ。

 Jリーガーになった浅野(広島)と田村(湘南)を擁し、準優勝に輝いた2年前のような華やかさはない。

 それでも「攻撃がうまくいかなくても最終ラインが我慢してくれる」と指揮官。
PK戦では4番手の中田と5番手の村沢が外すと、仲間が駆け寄って輪をつくる。
GK高田が3本止めて帳消しにし、「苦しい戦いをものにできてうれしい」と会心の笑みを浮かべた。

 1991年度大会で帝京(東京)と優勝を分け合ったことはあるが、狙うは悲願の単独優勝。
1点差試合に続いてPK戦で勝利。チームの団結力は増すばかりだ。(奥山次郎)


四日市中央工がPK戦制し4強入り

デイリースポーツ 1月5日(日)16時39分配信

【高校サッカー】四日市中央工がPK戦制し4強入り

後半、同点ゴールを決めて喜ぶ四日市中央工業・後藤凌太=埼玉県さいたま市、浦和駒場スタジアム(撮影・佐々木彰尚)

 「全国高校サッカー選手権・準々決勝、四日市中央工1(6PK5)1履正社」(5日、浦和駒場)

 3回戦で前回大会で敗れた桐光学園(神奈川)にリベンジを果たして、ベスト8に進出してきた四日市中央工(三重)。
対する履正社(大阪)は初出場ながら堅い守備で勝ち上がり、3回戦では全国大会常連の強豪・青森山田にPK勝ち。
スタメン11人のうち1、2年生が9人という若いチームは勢いに乗って古豪に挑んだ。

 試合開始から積極的に攻撃を仕掛けたのは履正社。
何度か相手ゴール前に迫ったが、四中工もDF坂主将(3年)を中心とした手堅い守りでゴールを許さず緊迫した展開が続いた。
後半も履正社がサイドから仕掛けてペースをつかんだが、四中工も徐々に反撃に移る。
10分過ぎにはFW小林(3年)のシュートをGKをはじいたところをFW井手川が右足でシュート。
しかしボールはクロスバーをたたき最大の決定機を逃した。

 そして22分、履正社はDF小川(2年)のロングスローを起点にFW菅原(1年)が
ヘッドでそらせたところに走り込んだMF石川(3年)が左足でシュートを決めて貴重な先制点。
だが、四中工も終了間際の42分にFKのこぼれ球をDF後藤(3年)が押し込んで同点に追いつき、PK合戦に持ち込まれた。

 PK戦もサドンデスの8人目までもつれたが、四中工GK高田(3年)が3本をストップする活躍で6‐5で勝利。
ベスト4入りを決めた四中工は、11日に国立競技場で行われる準決勝で富山一と対戦する。


四中工、粘り勝ちで4強 全国高校サッカー

2014年1月6日 

履正社−四日市中央工 PK戦で8本目のシュートを止め喜ぶ四日市中央工イレブン=浦和駒場スタジアムで

写真

 全国高校サッカー選手権は五日、準々決勝で県代表の四日市中央工(四日市市)は、
埼玉・浦和駒場スタジアムで大阪府代表の履正社と対戦し、
1−1(PK6−5)で勝利し、二年ぶりに東京・国立競技場で開かれる準決勝進出を決めた。

 試合は、履正社が終始ボールを支配する展開となった。
履正社は後半22分、ロングスローを起点としたシュートで先制。
四日市中央工は後半ロスタイム、DF大辻のフリーキックを相手GKが取りこぼしたところをDF後藤が押し込み、追いついた。

 PK戦は五人で終わらず、相手八人目が右に蹴ったシュートをGK高田がはじき、その後にMF服部が冷静に決めた。

 現在の国立競技場は改修のため、今大会で最後。
樋口士郎監督は「二年前にあと一歩まで迫った悲願の単独優勝を今度こそ成し遂げたい」と意気込み、
坂圭祐主将は「国立だと意識せず、まず目の前の試合に全力で臨みたい」と話した。

 準決勝は十一日午後零時五分から。四日市中央工は富山県代表の富山第一と対戦する。

 (中日新聞 山口登史)


四中工“デマ”を力に4強/高校サッカー

PK戦を制し喜ぶ四日市中央工GK高田(撮影・浅見桂子)
PK戦を制し喜ぶ四日市中央工GK高田(撮影・浅見桂子)

四日市中央工1−1(6PK5)履正社◇5日◇準々決勝◇浦和駒場

 デマを力に変えて? 四日市中央工(三重)が、2年ぶりの国立切符を手にした。
0−1の後半ロスタイムにDF後藤がFKのこぼれ球に詰めて同点。
両校8本蹴ったPK戦では2年生GK高田が3、4、8本目を横っ跳びで止めた。

 関東近郊で練習した前日4日、高田は3年生GKの中村から「うちは選手権ではPKで負けてないらしい」と聞き、信じた。
しかし実際には過去6度のPK戦負けがあり「負けてない」は間違った情報だった。
試合後、その事実を指摘された高田は「そうなんですか!? 
初耳です」と驚きつつ「結果的にメンタルが軽くなった」と笑み。
2年前は準優勝に終わっただけに「先輩の悔しさを晴らしたい」と優勝すると誓った。

 [2014年1月6日7時35分 日刊スポーツ 紙面から]


土壇場で履正社に追いついた四中工、
PK戦の末に2年ぶり国立進出!

ゲキサカ 1月5日(日)18時45分配信

[選手権]土壇場で履正社に追いついた四中工、PK戦の末に2年ぶり国立進出!

写真: Kaoru WATANABE (ゲキサカ)

[1.5 全国高校選手権準々決勝履正社1-1(PK5-6)四日市中央工 駒場]

 第92回全国高校サッカー選手権は5日、準々決勝を行い、浦和駒場スタジアムの第2試合では、
初出場の履正社(大阪)と、2年前の準優勝校である四日市中央工業(三重)が対戦した。
試合は後半ロスタイムに同点ゴールを挙げた四中工が、PK戦の末に履正社を下し、2大会ぶりの国立行きを決めた。

 前半から試合を優勢に進めたのは、選手権初出場の履正社だった。
しかし、得点機を生かせない。前半8分にはPA内でMF石川玲(3年)がシュートを放つが、左に外れる。
同12分には細かくパスを回して四中工ゴールに迫ると、MF川畑隼人(1年)がGK高田勝至(2年)と1対1になる。
しかし、シュートをミートできずにGK高田にキャッチされた。

 耐える時間の続く四中工だが、その後も攻撃を組み立てることができない。
DF後藤凌太(3年)は「(履正社は)夏に対戦したときは、もっとボールを裏に蹴ってくる印象だったが、
今日はかなりつないできた」と話す。
樋口士郎監督も「履正社の中盤のブロックに対し、自分たちで意図的にボールを動かせなかった。
奪われてのカウンターが怖くなり、完全に術中にはまってしまった」と振り返る。

 履正社は左サイドから攻め込み、前半21分にはMF牧野寛太(1年)、
同23分にはFW瀧本高志(2年)が左からクロスを入れる。
しかし、「前半は相手に回させて、耐えようと割り切った」(後藤)という四中工のDFにブロックされて、
中央にボールを送れない。
それでも同36分にはDF安田紘斗(1年)のロングボールから、最終ラインの裏を取った石川が決定機を得たが、
ここでもシュートをミートできず。前半は履正社シュート2本、四中工はシュート無し、スコアレスのまま折り返した。

 後半の立ち上がりもCKから履正社がチャンスを得るが、得点は動かない。
流れを変えたい四中工は、MF木下史也(1年)を下げて、MF服部優斗(3年)をピッチに送り出す。
「運動量が少なかった」とDF{坂圭祐}(3年)は劣勢の時間帯を振り返ったが、
フレッシュな服部が入り、四中工は活性する。
後半11分にはカウンターから、MF森島司(1年)が強烈なシュートを放つ。
これがGK安川魁(2年)に止められたが、こぼれ球をFW小林颯(1年)が再びシュート。
鋭いシュートはクロスバーに嫌われた。

 迎えた後半23分、先に試合を動かしたのは履正社だった。
起点は2試合連続でゴールにつながっているDF小川明(2年)のロングスローからだった。
左サイドからのロングスローを、直前にピッチに入ったばかりのFW菅原大空(1年)がヘッドで流す。
これを石川が左足で決めた。四中工の両CBは、「マークの受け渡しをしている際に投げられて、
ゴール前にボールが来たとき、どこにあるかわからなかった」(坂)、
「入ってきたばかりの選手(菅原)のマークを確認しきれなかった」(後藤)と反省した。

 1点を追う展開になった四中工は反撃を試みるが、履正社に縦パスをカットされてしまい、攻撃の形をつくれない。
逆に後半40分には、カウンターからMF多田将希(2年)からのパスを受けた牧野がGK高田と1対1になったが、
ドリブルをGKに抑えられてしまう。「突き放すチャンスがあったのに、突き放せなかった。そこが敗因だと思う」と、
試合後に樋口監督が悔やんだように、この場面は大きな意味を持つことになった。

 後半ロスタイム、FKを得た四中工はゴール前に両CBを上げてパワープレーに出る。
DF大辻竜也(3年)が距離のある位置からロングボールを入れると、
ボールはゴール前の混戦を抜けて、履正社GK安川の下へ。
「先に触ってほしかった。誰かがクリアーしてくれると思っていたから、反応が遅れてしまった」と振り返る安川は、
ボールをファンブルしてしまう。そこに詰めていた後藤が、左足でボールをゴールに押し込み、土壇場で追いついた。

 PK戦では先行だった履正社の3人目・多田、4人目・小川が立て続けにGK高田に止められてしまう。
四中工は4人目のDF中田永一(2年)が決めれば勝利となったが、
「自分のミスで追いつかれたから、PK戦ではやらないといけなかった」と話す履正社GK安川が、渾身のセーブ。
続く、履正社5人目の牧野が決めると、四中工5人目のMF村澤桂輔(3年)のシュートを再び安川がストップ。
PK戦はサドンデスにもつれた。迎えた8人目、履正社は安田のシュートがGK高田に阻まれる。
続く四中工は、服部がしっかりとゴール左上に決めて、試合終了。

 試合を優勢に運んでいた履正社にとっては、悔しい敗戦となった。
勝利した四中工の樋口監督も「内容では完敗」と認め、
「今日の内容では国立では勝てないが、うちには幸い(今日の試合で)危機感がある。
国立では良いサッカーをして、今回は優勝したい」と、2年前の雪辱に闘志を燃やした。


4強進出の四中工、PK戦の勝因は
『味方の声』と『監督の勘違い』?

[1.5 全国高校選手権準々決勝 履正社1-1(PK5-6)四日市中央工 駒場]

「最後は『もうダメかな』と思っていた」と、四日市中央工のGK高田勝至(2年)は、正直に心境を吐露する。
後半のアディショナルタイムに入っても、四中工は1点を追いかける状態だった。
しかし、DF後藤凌太(3年)が執念のゴールを決めて試合を振り出しに戻し、試合はPK戦にもつれ込む。

 今大会、初めて迎えたPK戦で、GK高田は緊張していたことを明かす。
「緊張していたから、最初の1、2本目は、めっちゃ早く動いてしまったんです。
高校に入ってからPK戦は初めてだったので、めっちゃ緊張してしまいましたね」と、振り返る。
その緊張をほぐしてくれたのが、チームメイトの声だった。

「うちの2番目のキッカーだった大辻竜也(3年)さんが、決めてから僕に
『緊張しすぎて、早く動きすぎているぞ』って声を掛けてくれたんです。
あれで落ち着き直して、しっかり待って、相手の動きを見ることができました。蹴る瞬間に、体が開くか、閉じているか。
そこを見ることができるようになりました」

 緊張を乗り越えた高田は、履正社の3番手、4番手のシュートを立て続けに止めた。
だが、試練は続いた。「2本止めて、これで1本決めて勝てるかなと思っていました」という高田の期待とは裏腹に、
四中工も4番手、5番手が連続で履正社GK安川魁(2年)にシュートを止められてしまう。
それでも、高田は「残念な気持ちもありましたが、止めたらヒーローになれると思い、
マイナスなことは考えずに集中していました」という。

 サドンデスに入ったPK戦でも、高田は履正社8人目のキッカーのシュートを防ぐ。
最後はMF服部雄斗(3年)が決めて、四日市中央工の4強進出が決まった。
試合後、樋口史郎監督は「選手たちに『四中工はPKに負けたことがないから、大丈夫だぞ!』と言って、
PK戦に向かわせました」と明かし、選手たちは「あれで気が楽になった」と振り返る。
だが、実際は1992年度大会で山城高(京都)にPK2-3で敗れていた。

 その事実を知らされたGK高田は「本当ですか!?  2日前にも、(GK中村)研吾さんとPKの話をしたときに
『四中工は負けたことがないから、大丈夫でしょう』って話をしていたので、
PKに負けていないっていう話は知っていたのですが、間違っていたとは知らなかったです」と、目を丸くした。

 緊張からGKを解き放った味方の声。そして、キッカーの緊張をほぐした監督の勘違い。
樋口監督が言うように、四中工には「風が吹いている」のかもしれない。

(ゲキサカ 取材・文 河合拓)


『谷間の世代』と呼ばれた四日市中央工
 ベスト4進出を決めた急激な成長

三回戦 四日市中央工 1-0 桐光学園 [写真]=鷹羽康博
文=安藤隆人 ( Soccer King )

 準々決勝終了後、一本の電話がかかってきた。
電話の主は四日市中央工(以下・四中工)の樋口士郎監督からだった。

 四中工は準々決勝で履正社を相手に、試合終了間際に追いつき、
PK戦の末に勝利をして、2年ぶりの国立進出を決めていた。その樋口監督からの電話。
出てみると、「安藤さん、いや〜びっくりしましたよ!」といつもの人の良さそうな樋口監督の高い声が聞こえてきた。
私も「おめでとうございます!」と言った後に、「正直、僕も驚いています」と素直な思いを伝えた。

 実は今年のチームは『谷間の世代』と呼ばれていた。
FW浅野拓磨(現サンフレッチェ広島)、田村翔太(湘南ベルマーレ)を筆頭に、2年前に選手権準優勝したメンバーが、
ほぼそっくりそのまま残った昨年と違い、今年は彼らがごっそりと抜けて、
春先は準優勝を経験しているレギュラーがDF坂圭祐とGK中村研吾の2人だけ。
多くが1、2年生メンバーで固められる状況だった。さらに、GK中村のプレーがなかなか安定せず、
夏には正GKの座を2年生の高田勝至に明け渡すなど、苦しいチーム状況にあった。

「正直、今年は厳しいよ。ここまでメンバーがいなくなるとね…」。

 春先、樋口監督は私にこう漏らしていた。実際にプリンスリーグ東海では残留争いに転落し、
インターハイ予選では決勝で三重高校にPK負け。まさにどん底だった。

 しかし、ここからMF森島司、FW小林颯ら1年生が急成長。
それに触発されてDF中田永一、MF舘和希、GK高田ら2年生も成長。
選手権予選前には、急な下の世代の台頭に、FW井手川純、DF大辻竜也ら3年生が奮起。
一気に個々の力が2重3重に増していったチームを、坂がしっかりと統率。県予選決勝では海星に5-0と圧勝するなど、
見違えるようなチームに生まれ変わった。

「一昨年、昨年はスーパーな選手がいたので勝ちやすかった。
今年は1年かけてみんなで作っていた。
一人一人が大きくなって、その結果、チームという円が膨らんでいくイメージ」(樋口監督)。

 この円は本大会でも広がり続け、何と国立進出まで勝ち取った。

「昨年は『勝負の年』と位置付けていたのに、勝てなかった。
でも今年は勝った。もう本当に分からないね。でも、これが高校サッカーなんですよね」。

 電話越しの樋口監督は、この驚くべき出来事をかみしめるかのように話し、この言葉の一つ一つの裏に、
当初の思いをいい意味で裏切ってくれた選手たちに対する感謝が込められていた。

「国立は楽しませます」。

こう締めくくった樋口監督。この円はどこまで広がり続けるのか。
準決勝では、緑の芝生の上で躍動する彼らが、1年かけて作り上げた『大輪』を楽しみたいと思う。